【作例あり】富士フイルム XF50mmF1.0 R WR レビュー 描写性能全振りのロマンレンズ

こんにちは、Nocchi(のっち)です。

軽さ正義で写真生活を営んでいる僕とは絶対と言っていいほど交わりのないと思っていたXF50mmF1.0 R WR

発売当初から色々と物議を醸していたレンズですが、それは自分も含め多くのユーザーが注目している証拠でもありました。発売から既に3年も経過していますが、僕の中からこのレンズへの想いは消えることはなく、一度は使ってみたいと思い続けていました。

普段はXF56mmF1.2 R WRを使っているため、大口径中望遠レンズとしてのポジションは完全に被ってはいましたが、意を決してこのタイミングでXF50mmF1.0 R WRを使ってみることにしました。

 

 

XF50mmF1.0 R WR

こちらが今回レビューするXシリーズ用の交換レンズ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」

Xシリーズ用レンズのラインアップ中では、最も明るいF値となるF1.0を有する単焦点レンズとなります。焦点距離は50mm(35mm判換算76mm相当)。開放F1.0の明るさにより、多量の光をとりこむことが可能となったことにより、低照度時のAF範囲も拡大されました。

実は2018年7月の段階では、35mm判換算で50mm相当となる標準レンズ「XF33mmF1 R WR」の開発を発表していました。しかし大型化を避けられないという理由からF1をキープしたまま50mm(35mm判換算76mm相当)に変更し2020年に発売されました。

 

 

XF50mmF1.0 R WRのスペック

まずはスペックをチェックしていきましょう。

価格約198,000円
焦点距離50mm(35mm判換算 76mm)
F値F1.0
最短焦点距離0.70m
レンズ構成9群12枚
絞り羽根9枚
フィルター径77mm
手振れ補正なし
長さ103.5mm
重さ845g

価格は198,000円と記載していますが、ほぼ20万円です。APS-Cの単焦点レンズで20万円もするレンズなんてそりゃ話題にもなります。人気があるレンズというわけではなく、むしろあまり売れてないようではあるのですが、価格も下がることなく、未だに新品では20万円前後します。

まず最短焦点距離は0.70mとほとんどと言っていいほど寄れません。

レンズ構成は非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚含む9群12枚となっていて、球面収差をコントロールすることで、美しいボケ感を実現しているため、ポートレート撮影ではその恩恵を最大限に受けることができます。絞り開放時には柔らかく豊かなボケを味わえるのはもちろん、絞り込むことでシャープな描写も楽しむこともできます。

フィルター径は77mm。レンズタイトルにWRを冠しているとおり、鏡筒にはシーリング加工が施された防塵・防滴構造となっているほか、-10度の耐低温構造となっています。

そして、最後に全長は103.5mmで、質量は845gです。最高にデカく、最高に重いです。

 

 

 

XF50mmF1.0 R WRの外観

次に外観をじっくりチェックしていきます。

レンズには上からフォーカスリング、絞りリングのみという非常にシンプルな構成です。

レンズ全長が長い分フォーカスリングの幅も厚めとなっているのが特徴です。ちなみにこのフォーカスリングの分解能が向上されていて、120度の回転角とあわせて、スピーディーかつ精密なマニュアルフォーカス制御も可能になりました。

成人男性が持つとこのサイズ感です。

フルサイズやそれ以上のセンサーサイズを積んでいるカメラを愛用している方するとなんてことはないかもしれませんが、APS-Cの単焦点レンズでこの大きさは異常かもしれませんね。

レンズが大きいと重心が分散され、持ってみると意外と軽い感覚になることもあるのですが、このレンズは持ってもちゃんと重く、思った通り重いです。

全長73.5mmのXF33mmF1.4 R LM WR(右)と並べてみました。

XF33mmF1.4 R LM WRもコンパクトと思ったことはないですが、XF50mmF1.0 R WRと比べてみると、実は極めて軽いレンズを愛用していたと錯覚してしまうほどのサイズ感です。

 

X-T5に装着

近くにあったX-T5に装着してみました。

X-Tシリーズではレンズを支えきれず、圧倒的フロントヘビーとなります。実質バランス良く使うのではればX-Hシリーズしかないようには思いますが、それでも多少フロントヘビーにはなるでしょうね。

カメラを握ってみたときのサイズ感はこんな感じです。

持ってみると意外とバランス良く見えはするのですが、ずっしり感があるため左手で添えるだけでなく、しっかり持って撮影することが求められます。

 

 

XF50mmF1.0 R WRのレビューと作例

大きさや重さのことばかり言っていても仕方ないので実際の写りを見ていきましょう。

大口径レンズですから、写りを評価しないことには何も始まりません。

 

被写体が浮き出るってこのこと

このレンズの最大の特徴と言えば、やはり絞り開放F1.0ですよね。まずは馬鹿みたいに何も考えず絞り開放F1.0で撮影してみました。

最近のレンズは絞り開放であったとしても解像力が高いですが、さすがにF1.0ともなると多少は甘くなるでしょう。と思っていました。

それが意外や意外、絞り開放でも抜群に解像してくれるんですね。

レンズのレビュー記事や動画を見ると、被写体が浮き出るような綺麗なボケ感という表現を見たり聞いたりすると思いますが、まさにそれです。

ピント部がしっかりと解像され、ピント部から外れるごとに繊細にボケていくため嫌でも被写体に目がいってしまう立体感を生んでくれます。

こんなどうしようもないタクシーを真ん中に配置しただけの構図であったとしても他のレンズとは比べ物にならない写りをします。

ボケのグラデーションが緻密なため前ボケ、背景ボケ両方駆使するとピント部までへの距離感が絶妙に伝わってきます。

 

他に類を見ない質感

そんな圧倒的なボケ感に慣れてくると、独特な質感に目を奪われていることに気づきました。

ガラスの透明感と量感が液晶モニターからも伝わってきました。

キレや色の再現はもちろん素晴らしいのですが、最も感じるのはツヤ感です。

モノの質感を緻密に再現するというよりは、ツヤ感をプラスして写真として返してくれるため、何を撮ってもそれっぽい写真になります。

 

AF性能は許容範囲か

LMではないし、正直AF性能には期待してはいませんでしたが、意外とイケます。

爆速とは言いませんが、そこそこ速いです。普通に使う分には全く問題のないレベルです。

精度も思っていたより悪くないです。F1.0では絶妙なピントコントロールが求められますが、ピンボケもなく、シャドウ部や動体にも合ってくれます。

 

操作感は絶妙に悪い

レンズが重いや大きいというのはもちろんなのですが、使いやすいレンズではありません。

例えば絞りをF1.0からF10まで変更する際に、他のレンズに比べて目盛が小刻みに割り振られているため移動するまでに距離を感じます。誤差なんでしょうけど、相対的に感じる時間と距離がストレスと感じる瞬間もあります。

他にもカメラの電源を入れ、レンズにドッキングして認識するまでの時間が他のレンズに比べ長いように感じました。

スナップ撮影が多い僕にとってはこれは結構致命的で、何度かシャッターチャンスを逃してしまいました。

 

F1.0って使わんよね

根本的にはなりますが、解放F1.0を使う機会ってそんな多くないのですよね。

今回は初F1.0ということで浮かれて使ったり、レビューのためにも多めに使ってみましたが、そもそもF1.0を使える機会が少ない。

夜や屋内撮影では非常に頼もしい明るさで、ISO感度をさほど上げなくても気兼ねなく撮影することができます。

しかし、晴天時屋内は余裕で露出オーバーで白飛びします。一応電子シャッターやNDフィルターを使うという回避策もありますが、このレンズのためだけには極力使いたくないところです。

 

他の作例

レビューでは載せきれなかったこのレンズで撮った写真を何枚か載せておきます。参考程度にご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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